「自分の可能性を狭めない」ために・・・
松井:
海外大生によくあるケースとして、企業選びの段階で、外資系企業など切り口を絞りすぎてしまって、実際うける社数も2・3社とかなり少なくなりがちだと聞きます。
相談に来る学生の中にもそういった方は多いのでしょうか。
阿久津:
そうですね。自分の専攻を活かせるところじゃないと働けないと思っている方は結構いらっしゃいます。
たとえは、美術(アート)を専攻されていた方のケースです。その方の場合、日本企業への就職は難しい」と思い込まれていました。海外では、大学の専攻を活かした就職が一般的なので、どうしてもこのような先入観があります。そういった方には、日本の就職では、大学の専攻と仕事内容の関連が低くても学生のポテンシャルをみて採用する企業も多く、日本の学生は専攻にとらわれずいろいろな業界・職種を選択しているということをお伝えしています。そこではじめて、自分にもいろいろな可能性があるということに気づかれて、やっと企業選びのスタートラインにたたれる方も多いです。
松井:
なるほど。留学先で一生懸命勉強したことを活かそうと、かえって可能性を狭めるケースのあるのかもしれませんね。
阿久津:
そうですね。ただいったんスタートラインにたたれても、可能性が急に広がると逆に、じゃあ何をやったらいいのだろう・・・と悩まれる方が多い。
自分がやってきたことをいったん忘れて、ゼロベースで自分の就職について考えるときに大切なのが、自分の価値観を知ることです。自分の過去の成功談、失敗談、楽しかったできごと、嫌だった出来事を整理すると自分の仕事で実現したい将来の目標が見えてきます。たとえば5年後10年後こんな人になりたいとか、こんな生活を送っていたい、こういう働き方をしたい、とか・・・。最初は漠然としているかもしれませんが、目標設定ができれば逆算で、目標を実現するための業界や企業選びに入っていけると思います。
松井:
ちなみに海外大生も「業界」という切り口から企業選びをする学生が多いのですか?
日本の学生の場合、まずは知っている会社から選んで、次に人気の業界の中から企業を選んでいます。海外の学生も同じですか?
阿久津:
同じですね。最初に自分の知っている企業名で選び、そのあとに業界。最後にようやく自分の価値観という軸に気づくという形ですね。海外の学生の希望する職種・業界・社名は、日本の人気企業ランキングとそんなに変わりませんね。
松井:
先ほどおっしゃっていた自分の価値観を導き出すのは難しいと思うのですが、具体的にどんなアドバイスをされていますか?
私が大学院時代にやったことのひとつは、100種類以上の職種が載っている職種辞典を読んだことです。仕事内容を読んで、ワクワクする職業と、まったく興味がわかない職業と、付箋をつけて分けていきました。そうすることで、自分はどういった仕事にひかれて、反対にどういった仕事にひかれないのか、よくわかりました。
阿久津:
そうですね。繰り返しになりますが学生にアドバイスする時は、成功体験や失敗体験、一番楽しかった経験や、悔しかった経験や、そのときの気持ちを聞いていきながら導きだしています。
価値観というとすごく広いし、定義もないし、分かりづらい世界だと思います。価値観は人によってまちまちだと思うのです。好きか嫌いかでもいいし、さきほどの職種の興味を持つか持たないかでもいいし、あとは、なんとなくその状態が好き、人のサポートをしているときが好き、調べものしているときはあまりモチベーションがあがらない、といったことでもいいと思っています。
松井:
学生が自分の価値観を見つけたとしても、それをどう企業選びに結び付けていくかというのは難しいですよね。
阿久津:
そうですね。自分の価値観を知った上で、自分に合っている企業や仕事をさがす際は、3つの観点で考えてほしいと思っています。1つ目は、その会社で将来自分が持っている目標を実現できそうか、2つ目は、今の自分が持っている能力が発揮できそうか、そして3つ目は、勤務時間や勤務地、給料などの条件面や、会社の雰囲気が自分にあっているか。この3つの観点は、だいたい就職情報サイトを見ると分かってくると思います。
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